死刑存廃論で見落としがちなこと

  • 「死刑を廃止して死刑囚を何十年も無期懲役にすると、財政負担が増える」という意見があるが、この場合想定されているのは大抵の場合、懲役の平均費用である。
  • しかしこの場合問題にすべきは、懲役の平均費用ではなく、限界費用である。
  • 法務省のホームページ[PDF]によれば、平成19年の全国の刑務所・拘置所の1日平均収容人数は80,684人である。他方、近年増加傾向にある死刑囚の執行人数は、平成18年が4人、平成19年が9人、平成20年で13人である。
  • 既に8万人いる受刑者が数十名程度増えることによる年間の限界費用は、おそらくほとんど無視できる程度のものと推測される。
  • 現在死刑制度を維持するために要している様々な費用(執行施設の維持費等)が死刑を廃止すれば不要になることを考慮すると、純粋に財政負担という点で考えれば、廃止した方がコストは安くつきそうである。