2008-01-01から1年間の記事一覧

性的自己決定の自由への規制

性的自己決定の自由への規制は現在様々なものがあるが、リベラルな社会では、次の行為を規制すれば足りる。 婚姻関係にない者同士が、避妊具(コンドーム)を使用せずに性行為を行うこと。 ただし、同性結婚が認められるていることが前提である。

国籍法改正問題と憲法典の欠陥、そして憲法学の貧困

国籍法改正問題の根底には、憲法典のある重大な欠陥が存在する。先の違憲判決は、この欠陥を糊塗するため法学ギルドが重ねてきた屁理屈の集大成である。国籍法改正問題の本質を理解するためには、この屁理屈を喝破することから始めなければならない。 すべて…

ネット右翼とネット左翼

ネット右翼とネット左翼の対立は、政治的立場の対立である以上に、思考様式の対立である。簡単に定式化するなら、ネット右翼とは、「主体」に着目して議論する人たちであり、ネット左翼とは、「理念」に着目して議論する人たちである。 ネット右翼の関心は、…

天皇とエンペラー

明治維新から一貫して、天皇の英訳はEmperorである。しかし、この訳語はもはや時代錯誤であり、外国人に誤解を与えるものであるから、早急に改めるべきである。 19世紀末の国際情勢に照らせば、政府が天皇をEmperorと訳したことには合理性があった。当時は…

民法典(債権法)不要論

近時、民法典(債権法)の改正が議論されている。しかし、私見では、債権法の実定法による固定化はそもそも不要であり、かつ有害である。 債権法の一般的ルールは、コモンロー的な判例の蓄積により、徐々に、かつ柔軟に、形成・変更されることが望ましい。他…

ロボトミー

ロボトミー手術により数万人の人格を破壊した日本の精神科医たちは、結局、現在に至るまで、何の責任もとっていない。 「当時の精神医学の知見に照らせば、正しい治療だった」との言い草は、何の弁明にもならない。当時の精神医学会が総体として間違っていた…

死刑存廃論で見落としがちなこと

「死刑を廃止して死刑囚を何十年も無期懲役にすると、財政負担が増える」という意見があるが、この場合想定されているのは大抵の場合、懲役の平均費用である。 しかしこの場合問題にすべきは、懲役の平均費用ではなく、限界費用である。 法務省のホームペー…

刑法に「聖域」はない

業務上過失致死罪における「業務」とは、「社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、生命身体に危険を生じ得るもの」一般を意味し、いかなる職業もその対象となり得る。 もっとも、かつては業務上過失致死罪には事実上の「聖域」があった。典…

中学校における歴史教育について

中学校における歴史教育の在り方について意見を述べる政治的資格を持つのは、中学生の保護者である。彼らこそ中学生の利益を公的に代理する者であり、中学校における歴史教育の在り方について最も直接的な関心を持つのは(中学生自身を除けば)彼らだからで…

中絶について

「中絶は殺人である」との原理主義的な中絶反対論の主張は、(1)胎児にも意識がある以上ヒトと等価な一個の生命であるというものと(2)胎児はヒトと等価ではないが、やがて完全なヒトとなることが見込まれる以上、ヒトと同等に扱われるべきとの主張に大…

宗教の機能

その1:宇宙の擬人化による説明 その2:社会倫理の内面からのエンフォースメント その3:真偽不明な命題を真だと信じることによる、プラスの心理効果 現代社会において、1は科学が、2は法と教育(国家)が代替する。 現代社会における宗教の唯一の意義…

善悪二神論の論理的優位性

善悪二神論*1は、神義論*2の問題を生じさせない点で、唯一神論*3よりも世界の説明として優れている。 善悪二神論は、自由意志の問題*4についてもすっきりした回答を与える。すなわち、善なる神と悪なる神の勢力の拮抗が世界に複数の選択肢を生み出し、人間は…

容姿差別論

1 容姿による区別は差別である。 容姿差別は、人種差別や男女差別、部落差別と同様、社会から消滅すべきものである。 政府は容姿差別の解消に向け、社会に積極的に介入すべきである。 2 容姿差別を、「才能」という言葉で正当化することはできない。 「才…