「既得権」という言葉

  • 「既得権」とは便利な言葉である。この言葉を使うことで、他人を容易に批判できる。
  • しかし、「既得権」と「正当な権益」とを恣意的でない形で区別することは、極めて難しい
  • おそらく、もっとも簡単に思いつく基準は、「自ら苦労して獲得したものが正当な権益、そうでないものが既得権」というものだろう。
  • しかし、この基準に従えば、例えば日本国民であることは明らかに既得権である。日本国籍を持つことによって、社会福祉や政治参加の点で、有利になることが多々あるが、日本国民たる地位は苦労して獲得したものではないからである。
  • また、農協や特定郵便局長会、自治労や放送局といった組織に属する人々は、自らの権益を保持するために日々多大な労力を費やしている。獲得に費やす労力よりも保持に費やす労力を低く評価すべき根拠はあるのだろうか?
  • 結局、「既得権」と「正当な権益」は区別できず、既得権とはレッテル貼り以上のものではないのではないか?